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読書

つまらない学校生活を送る学生のための本

2016/08/29

グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)

グミ・チョコレート・パイン -大槻ケンヂ著

グミ・チョコレート・パインという本を読みました。

作者である大槻ケンヂは知る人ぞ知るロックバンド、筋肉少女帯のフロントマンです。

この本自体も一部の界隈の人達に絶大な指示を得ていて、ある意味神格化されているようなところがあります。

…「グミ・チョコレート・パイン」を青春時代に1回読むってことのほうが僕にとっては価値があるのさ
- 峯田和伸(銀杏BOYZ)

読んでいるとすぐ分かりますが、この本は暗い青春を送っている人、または送っていた人のための小説です
彼女もできず、部活で活躍するでもなく、文化祭等のイベントに張り切るでもない生活を送りながら、心のどこかで「俺は他の奴らとは違うんだ」なんて思いながら生きている中学生・高校生のための小説。

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満たされない学校生活

この小説でも例に漏れず「クラス内ヒエラルキー」が描かれています。
主人公はイケイケグループにも普通グループにもオタクグループにも属さないクラス内の空気マンです。

満たされない中高生時代を送った人には分かると思うのですが、そういう人って自分と同じような境遇の話を見聞きすると何故かホッとするものですよね。
体育でペアが組めないとか、トイレに行っていたら自分の席が座られてしまい授業開始まで校内を徘徊しただとか、そんなエピソードって界隈の人には一種のあるあるネタです。
私はそういう経験を人から聞くだけで仲間意識を持ってしまいます。

モンモンとした少年がモンモンとした映画を観てさらにモンモンと
する。モンモンがモンモンを呼びモンモンモンモン状態である。「あーオレはダメだ、ダメ人間だ」と自虐的になるというのは、ある種心地よいものである。ナルシシスムに酔えるからだ。
ーグミ編 89Pより引用

この本の主人公の趣味は映画鑑賞で、彼もまた満たされないエピソードの映画を見るのを習慣としています。

理想と違った点

「おっ、この小説ぼくのことがそのまま描かれているぞ!」なんて思いながら読み進めていくと数ページしないうちに主人公の友達が登場します。
なんだ、こいつには友達がいるのか……
学生時代に友達もいなかった人がみると少しがっかりするかもしれません。

ネタバレになってしまうので詳しくは言いませんが、他にもストーリーが進んでいくごとに主人公に「自分とは違うな」と感じる部分はいくつか出てきます。
グミ編・チョコ編・パイン編と読み進めるごとに最初は自己投影をしていた主人公がきちんと一人のキャラクターへと移っていきます。

作者である大槻ケンヂも初めは自叙伝として話を書き進めていたそうなのですが、「だんだんキャラクター達が勝手に命を持ち始めた」なんてことを言っているので主人公に変化を感じるのも納得できますね。
そもそも、続編を書くのに何年もブランクを開けてしまっているようなのでキャラクターに変化が生じるのは必然的かもしれません。

こんな物語他にもどっかで見た

主人公の学校での立場は空気で、映画が好きで、そんな人間が「何かやってやる!」と活動していく物語って桐島、部活やめるってよと全く同じなんですよね。
グミ・チョコレート・パインが元ネタになっているんじゃないかというくらい話に共通点があります。
クラス内ヒエラルキーにあぶれてしまう主人公の物語なんてまあ似たような話になるのかもしれませんが。
話としては桐島のほうが綺麗にまとまっていますし、心理描写も上手いです。

グミ・チョコレート・パインはプロの小説家が書いた本ではありませんし、下品な表現も沢山あります。
しかしたまにはこういうのを読んでみるのもおもしろいかなと思いました。

何より、自分の「何か満たされなかった青春」を自分とはまた違った人の言葉から眺めてみると、自分の経験の意味がよく見えてくるものです。

-読書