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作品紹介

「君たちはどう生きるか」感想と要約。人生について考える入門書

2019/11/04

「君たちはどう生きるか」という漫画を読みました。

原作は80年ほど前に出版された岩波文庫の書籍なのですが、最近売上ランキングの上位に入っているらしいです。

私が聞いたラジオによると、原作の書籍を読んできた祖父母世代が「孫にもその内容を伝えたい」ということからこの漫画が売れているのだとか。

単純に最近自分がどう生きるかについてよく考えていたので、普段ミーハーな書籍には興味を持たない私も興味が湧きました。
さっそく読んでみたので感想を書いていきます。

全般的に(ネタバレなし)

本の内容は、漫画部分と文章部分に分かれていて、章が終わるごとに文章が挟まれています。文章の原作を漫画化した本によくある手法ですね。

ストーリーは一応楽しめたので、最後まで読むのに退屈はしませんでした。
肝心の内容は、「自分がどう生きるかダイレクトにヒントになるようなこと」までは書かれていなかったように感じます。

というのも、レベル感が22才になる私が読んでいると「まぁ、そうだよね」というような内容だったためです。

読者の本来のターゲットは小学生~中学1,2年生ぐらいかなと思います。
ただ、実際に親御さんが小学生や中学生になるお子さんにこの本を買ってあげるとなると、それはそれで心に突き刺さらないかもしれないです。

小中学生の倫理的な関心って具体的なところにあると思うのですが、本で描写されている問題ケース(いじめ,貧困など)の例が結構古いんですよね。
同じ状況に遭遇している子には響くと思いますが、そうでない子が漠然とした「生き方」みたいなのを学ぶには、説教臭さを感じてしまうかもしれないです。

私が中学生だった頃は「人は何のために生きているんだろう」とか「人を殺しちゃいけない根拠って何だろう」みたいな中二病チックな疑問のほうに関心が強かったです。

内容要約(ネタバレ部分)

1章.変な経験 - ものの見方について

銀座のデパートから人混みを見た主人公が、自分は世の中を構成する一要素でしかないことに気づくという内容です。

人間は自分中心で物事を考えてしまいがちなので、自分を客観的な視点で捉えることは天動説から地動説に移行するくらい難しいといったことが語られます。

2-3章.勇ましき友 - 真実の経験について

いじめられている同級生をなんとかしてあげたいというような内容です。
結果的に主人公は同級生を助けてあげられず、別の同級生が助ける流れになります。

人間は同調圧力で行動してしまいがちなので、その中でただ一人行動を起こすのが難しいといったことが語られます。
また、一方的にやれられる側の気持ちが理解できるのは偉い的なことが語られます。

4章.ニュートンのリンゴと粉ミルク - 人間の結びつきについて

ニュートンが万有引力を発見したのは、日常的な対象であるリンゴの木を宇宙空間まで拡張して考えたからだというエピソードが語られます。

同様の考え方を主人公が家にあった粉ミルクに当てはめ、粉ミルクが無数の人間の貢献によって自分のもとに届いていることに気づくという内容です。

5章.貧しき友 - 人間であるからには

貧乏なため、自分で働いている同級生を見て主人公が感心する内容です。

貧乏な人を哀れだと思ってはならないとか、生産者は消費者に対して見下されがちだけど本質的な貢献度を考えたら生産者のほうが偉くない?みたいなことが語られます。

個人的に、貧乏な人への考えの主張の理論的な裏付けが弱く、感情論のように感じられたので、そこを補強してほしかったですね。
それと、描かれている貧困感がすこし前時代的です。「中学校に行けない」とかそういうレベルです。

少し現代に沿って「塾に通える子供・通えない子供」ぐらいに置き換えて読まないと現代の学生は臨場感を持ちづらいと思いました。

6章.ナポレオンと4人の少年 - 偉大な人間とはどんな人か

同級生が先輩に目をつけられてるので、ナポレオンみたいに強くなりたいと言い出す話です。

ナポレオンが20年という短い歳月でヨーロッパを制覇した華々しい経歴が語られ、気力がすごいみたいなことが書かれています。
でも、そんな偉人と言われるナポレオンも、他者に貢献するという意味では完全に素晴らしい人ではなく、裏では苦しんだ人が多くいたことが語られます。

ナポレオンも時代の大きな流れの一点でしかなく、人に貢献できる人こそが素晴らしいんだぞ、みたいなことが語られます。

ここの章は主張が2転くらいするので、話の筋がちょっと理解しにくかったですね。
主観も多かったのでやはり理詰めで説得してほしい感がありました。

7-11章.雪の日の出来事

友達が先輩からいじめられているときに、主人公は何もできず見捨ててしまった的なエピソードです。

「人間は自らの愚かさを認知できるからこそ成長できる」みたいなことが語られ、失敗の体験は自分に深く残り次に役立てられることが語られます。

この章は、この本の中で個人的に一番納得できる部分でした。
私自身、仕事等で人と関わることに失敗して落ち込むことが多いんですが、何となくそれを肯定してくれたような気持ちになりましたね。

まとめ

以上です。
簡潔に並べると、この本は

  • 主観と客観
  • 自分が正しいと思うことをする
  • 世界と自分の生産関係
  • 貧困
  • 偉大さとは何なのか
  • 失敗から成功を学べるということ

といったトピックに対する初歩的な考えを与えてくれます。
箇条書きにしてみると、意外とと大層なことを書いていたように見えますね。

ネットの口コミ等の見ていると大層なインプレッションを受けている人も多いので、是非自分の目で読んで内容を判断してみてほしいです。


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